以下、黄色文字: 聞き手 青文字 : 小出氏
>>> 「 日米原子力協定 」についてお伺いします。
1968年に旧協定が結ばれて、88年に今の協定が中曽根内閣の時に
結ばれました。この協定が今も有効なわけですね
そうですね。確か、昭和30年だったですかね?
>>> だから、2018年まで日米原子力協定が今もあるわけですね
もちろんです。
>>> この協定の、内容と問題点は
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この国がサンフランシスコ講和条約で一応、米軍から解放された時からの流れの中で理解するべきだと思います。
日本には、日米安全保障条約があるわけですし、日米地位協定というものもあるわけですね。
そういうものの基本的な枠組みは何かというと、日本というものが米国の属国になっていく、そういうことなのですね。
原子力協定ももちろんその一部をなしているわけで、米国の指導の下というか、米国の思惑の枠組みの中で原子力をやってきた。
米国に付き従っている限りは一定の自由を与えてやろう、そういう協定です。
>>> 核燃料サイクルですが、日本はやめたいと思っても、この協定がある限りは
やめられない
もともとは、米国も日本には核燃料サイクルはやらせたくなかったのです。
というのは、核燃料サイクルというのは、いわゆる核兵器製造サイクルというべきものでして、原子炉で出来たプルトニウムを取り出すということが一番の眼目なのですね。
でも、日本はなんとしても自力で核兵器をつくる力、技術的な能力を身につけておきたいと思ったわけで、その中心的な技術である再処理ということをやりたかったわけです。
やはり、米国としては、日本にそれをやらせるのはまずいと思ったわけで、日本が再処理に手をつけるということに関しては、米国の中で随分反対があったのです。
その反対を押し切って、1977年に東海の再処理工場というのが動き出したわけで、
ようやく、日本としては、米国から了承を取り付けて、核燃料サイクルに踏み込むことが出来たということなのです。
それをもちろん、簡単に手放すことが出来ないわけですし、世界で唯一なのですね、核保有国以外に再処理工場を認めたというのは日本だけなのであって、日本が属国である限り、認めておいてやろうというそういう枠組みの中で原子力協定があるのです。
ですから、歴史の流れの中で考える限りは、日本は自分でも抜けたくないだろうし、米国としても今も枠組みが維持できている限りは、日本はその枠組みで利用したいと思っていると思います。
>>> 核燃料サイクルというのはアメリカが日本に実験させてそれを見ていると
思っていたのですが日本も核兵器をつくりたいからやりたいのですか
そうです。
>>> 単刀直入にいうと、野田内閣の時に20万人が官邸を取り囲みました。
野田さんは「大きな音だね」と言いましたが、野田内閣が再稼働せざるを
得なかったのは、日米 原子力協定があるからですか
先ほどから聞いて頂いているように原子力協定も歴史の枠組みの中で考えるべきだと思っていまして、米国という国は日本が属国である限りは、それなりの自由を与えて、原子力あるいは核という世界に留めておこうと思っているわけですね。
ですから、核燃料サイクルというものもそれなりに認めておいてやろうと思っているわけですし、原子力という、そういう世界につなげとめておくことによって、米国は原子力発電所を売りつけたりすることで、利益、つまり、金が自分の懐に入ってくるというために、日本は逃がさないと思っているのだと思います。
>>> 例えば、日本がアメリカの原子炉を購入することで、
ウランやプルトニウムの燃料で儲けていこう、そういう考えもあったんですか
ウランを売りつける。或いは、原子力発電所というのは、天然のウランでは日本の原子力発電所は動かないわけで、濃縮という大変厄介なことをしなければいけないのですが、米国はウラン濃縮、つまり原爆をつくるためのウラン濃縮工場をたくさん作りすぎてしまって、そこから出てくる濃縮ウランをどこかへ売らなければ儲からないのですね。
>>> アメリカは余ってたんですか
そうです。山ほど余ってますので、とにかく原子炉を売りつけて、燃料を売りつけることで金儲けをする、そして、原子炉自身も米国がパテント(特許、特許権)を持っているわけですから、売れば売るほど儲かる。ただし、米国自身はゼネラルエレクトリックもウエスティングハウスも、すでに生産ラインを失ってしまっていますので。
>>> スリーマイルの時からですね ?
それより前から1974年から米国は原子力から撤退しているのです。
生産ラインがないので・・・
>>> 米国の方が賢いのですね
遥かに賢いです。
それで、日本の生産ラインを動かして、それでまた金儲けをしようと企んでいるのです。
>>> 危険は日本任せで、利益はアメリカが取ろうとしているわけですね
そうです。
>>> 日本も原子力ムラはそれで儲けたいし、核兵器をつくりたいという思惑も
あるので、日米ムラがお互いいいだろうということでつくったような
協定ですよね
まあ、国家としての思惑、企業としての思惑というのが複雑に絡み合って、もちろん米国は利益を求めるわけですし、日本の企業もすでにつくってしまった生産ラインがあるので、もう抜けることができないことで儲けることに走っているわけです。
>>> 日米安保がある限り、沖縄や横須賀に基地があるわけです。
だから、沖縄の人が声をあげても基地はなかなか撤去できませんよね
そうです。
>>> これと同じ構図が原子力にもあって、結局、日本政府も基地ビジネスで
儲けたい人がいて、軍産複合体もそれで儲けたい人がいるし、
アメリカだって、日米安保条約の中で沖縄に基地を 置きたい、
という両者の思惑みたいなものが安保条約であって、
結局、沖縄の人が苦しんでいるわけですよね
そうです。
>>> 今回、再稼働を申請している原発というのはほとんどプルサーマルが出来る
能力があるものが多いですよね
はい。それが多いですね。
>>> 日本政府も電力会社も前のめりになっているのは、プルトニウムを回し
続けたいという思いがあるのですか
プルトニウムを回し続けることはもうできません。高速増殖炉が動きませんので。しかし、日本はすでにプルトニウムを分離した形で、45トンも持っていて、それを使うと長崎原爆が4000発も出来てしまうという量なのですね。そんなものを世界が容認してくれるわけはなくて、日本は使い道のないプルトニウムは持たないという国際公約をすでにさせられてしまっているのです。
そうなれば、なんとしても燃やすしかないということで、無理に無理を重ねて、プルサーマルということをやらざるえないところに押し込められてしまっているのです。
>>> この日米原子力協定は2018年に期限が切れます
これは破棄するべきだと思いますし、原子力協定だけでなく、地位協定だって破棄させるべきですし、日米安保条約だって破棄するべきだと思います。
>>> 本当の意味で独立していかなければいけませんね
( 誰かさんが唱える“ 美しい国 ”のような偏向したモノではなく、
真にインディペンデントな国に )
そうです。
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