▼2015年5月10日(日)
改憲論者として、教師であり、知恵袋として長年自民党議員たちに貢献してきた慶応大学名誉教授で憲法学者の小林 節氏。
氏は自民党の議員たちに憲法の何たるかを教えてきた・・・はずだった。
しかし、世代交代し世襲とも言うべき2世3世議員たち がひしめき合う状態となった中で ( こうした状況を作ったのは我々国民ですが ) 、皆さんもご存知の自民党改憲草案が発表されたわけだが、
これを目にした小林氏は 「・・・落胆し、ついには怒りだしていた。」 と述べている。
以下に “ LITERA ” が小林氏著書
『 タカ派改憲論者はなぜ自説を変えたのか 護憲的改憲論という立場 』 を
取り上げ、解説したものを一部抜粋でご紹介します。
( 以下、●青文字・小林氏、緑文字・LITERA ) |
憲法とは、立憲主義とは何なのか。
●「 ・・・そこで、いま、改めて原点を確認しておきたいが、憲法の本質は、主権者・国民が権力担当者に課す制約である。
・・・・・ 憲法は、主権者・国民大衆の中から例外的に選ばれて
個人の能力を超えた力を託された人々が、人間の本来的な不完全性ゆえに、その権力を乱用することがないように、権力に歯止めをかける規範である。 」
●「 言うまでもないことであるが、心配だからあえて言うが、憲法とは、主権者・国民・大衆が、一時的に 「 権力 」 という大きな力を国民から託された権力者がその権力を濫用しないように 「 権力者に課した制約 」 である。それが権力者によって無視されたら、もはや日本も例えば北朝鮮と違いがなくなってしまう。 」
●「 憲法は国家権力を縛るもので、国民を縛るものではないのに、議員たちは自分が明治天皇になったつもりで、勘違いしている 」
「 本来は主権者・国民が権力を抑制する道具であるはずの憲法を使って国民に 「 道を説く 」 ことを主張する国会議員が自民党にも民主党にもいるが、このことに、一部の護憲派を除いて、世論もじつに鈍感というか従順である。 この状況こそ憲法の危機であろう
」
その典型が、国を愛する義務と、家庭を守る義務を憲法で規定しようとしているという、驚くべき事実である。
小林氏は、日本に生まれた以上、日本人として愛国心をもつべきだし家庭を守るのも当然であるという立場だ。
だが、それを憲法で定めるというのは違うと主張する。
それをしたら人権の中核である自由に対する強制になってしまうからだ。 |
●「 まず、事柄の本質として、愛などというものは、各人の心の最も深い部分にある良心作用で、そもそも外部から 「 義務 」 として強制・介入できるものでも、してよいものでもない。
例えば男女の愛について考えてみれば明らかなように、愛は、それを求める側がその魅力で相手から引き出すべきものである 」
これは「法は道徳に踏み込まず」という大原則を自民党が理解していないからだという。
こうした“上から目線”の条文が全編を覆っているのが、自民党の憲法改正草案なのだ(小林氏は「改悪」と言っている)。憲法で国民を躾けようという発想は、国会議員が家業になっている世襲貴族のものだ、と小林氏は喝破する。 |
●「 安倍首相や自民党の憲法観は、権力者がわれわれ国民を管理するという発想で、強いものが弱いものを支配する構造なんです。
自民党の人たちは2世3世議員が多いから、自分たちはずっと権力の側にあるという前提で考えているんでしょう。だから国民に国を愛せだとか、いまの憲法は権利が多すぎて義務が少ないなんておかしな主張が出てくる
」
・・・・・小林氏の憲法への姿勢は昔から一貫しており、いまも改憲論者であることは変わっていない。
大前提として現行憲法の三大原則( 国民主権、平和主義、人権尊重 )は人類の歴史的体験から生まれた究極の真理として尊重する。
その上で、この三大原則がきちんと機能するよう、変化した時代にも対応できるように、条文を改良しようという立場だ。
9条についても、平和主義をより明確にするため全面的に書き直し、
(1)侵略戦争の放棄、(2)自衛権の留保と自衛隊に対する文民統制、(3)国際貢献の用意――
を明示するとしている。 こうした改憲論者から見ても、いまの自民党の改憲論は危なすぎる、ということなのだ。
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また小林氏はこんな表現も使っています。
「 96条改正は 「 裏口入学 」 憲法の破壊だ 」
「 安倍政権の解釈改憲は憲法のハイジャックだ 」
「 権力者の側が 「不自由だから」 と憲法を変えようという発想自体が間違いだ。
立憲主義や 「 法の支配 」 を知らなすぎる 」
「( 自民党の改憲草案は )明治憲法に戻ろうとする 『 時代錯誤 』 の一語に尽きる 」
「 国民全体を縛ろうとする憲法観が大間違い 」
このまま国民の政治に対する無関心、投票率の恥ずかしいほどの低さ、現状認識の緩さ、等々が続けば、今の政権は、安倍政権の安倍政権による安倍政権のための憲法改定に突っ走るでしょう。
その為国会議員の3分の2を占めようとメディア・コントロールをはじめありとあらゆる国民懐柔策を謀り、最終的に国民投票が実施されるよう仕向けてきます。
そうならない為にも、またそうなった時の為にも、否今すぐにでも、70年間平和国家としての日本を守っている “ 日本国憲法 ” を、自分の事・家族の事として、少しばかり努力して勉強し、現行憲法の何たるかを理解しましょう。
そしていつか来た道に戻らない為にもお互いやるべき事はやっておきましょう。
解説本も沢山出ています、でも老婆心ながら、チョイスを間違わないように!、と一言付け足します。
記 : 5月10日
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